2008年07月20日

きまじめ工場長が倒れた 〜その2〜


地震はなかったようです。
こういう予言は当たらないほうがうれしいですよね。

さて、昔の話しに行きましょう。

マカティメディカルセンターのICU(集中治療室)は、新館の丸い建物の中にあります。
治療室の周りにガラスで仕切った部屋があって、関係者はそこまでしか入れません。

倒れた次の日、会社が終わるとすぐに病院にいきました。
関係者が入れるところには、OX社の人たちが交代でつめていました。
容態が急変したら会社に連絡をするということで、日本人の社員が一人と現地人の社員が一人24時間体制でつめていました。
会社が終わってからは、ハリガネ先生やうわばみ製造部長も様子を見に来るという状態です。

きまじめ工場長の容態はすでにどうにもならないところまで来ていました。
脳内出血の範囲が大きすぎて回復する見込みはありません。
生命維持装置で生かされているという形です。

きまじめ工場長には、日本に家族がありました。
『きまじめ工場長が倒れて、意識不明の重態』という知らせに日本から奥様と子供たちが急遽やってくることになりました。
本社の人たちも同行してきます。
会社には、日本の家族を正式な家族として届け出ていました。
日本の家族に知らせないというわけにはいきません。

当然ですが、フィリピンの家族と遭遇することになります。
ややこしいことにフィリピンでも正式に届出をしてあって、フィリピンの国内法的には婚姻が認められていたのです。
このころのフィリピンの家族法では、国外での婚姻関係を証明する必要がありませんでしたので、こういうことが可能だったのです。
今でも似たようなものですが。。。
ちょっと話がそれました。

OX社の関係者の方々は、二人があったらどうなってしまうのだろうという心配をしました。
修羅場が展開されることが予想されます。
できればこういう場面には立ち会いたくありませんよね。

ドクターの話では、回復する見込みはまったくありません。
家族が到着するのを待って、ふたりの奥様で話し合いをしてもらって生命維持装置をはずすことを決めてもらうしかありません。
どうしても二人で話し合っていただかないわけにはいきませんでした。

ふたりの奥様の話し合いは、ストレスと高血圧でマカティメディカルセンターに病室を取って入院してしまったフィリピンの奥様の病室に日本の奥様が訪問するという形で実現しました。
もちろん、前もってフィリピンの奥様には了解を取っています。
『会いたくない。』といわれたらどうしよう・・・とOX社の人たちはびくびくしていましたが、予想に反してフィリピンの奥様は日本の奥様に会うことを承諾してくれました。

フィリピンの奥様は、きまじめ工場長が日本に家族があるということを知っていました。
前の会社できまじめ工場長の秘書をしていた人です。
きまじめ工場長の家族調書など必要な書類は見ていました。
会社がうまくいかなかったときに、新しい事業を起こしたときなど、一緒に苦労された方です。
イセエビを観光客用にパックして売ろうと思ったが、うまくいかなかったという話を笑いながらしてくれたことがありました。
きまじめ工場長は、フィリピンの奥様に『日本のおくさんとの間にもう愛情はない。子供が大きくなったらきちんと別れる。』という話をしていたそうです。
たぶん、心からの言葉だったと思います。
フィリピンのおくさんと子供に無条件の愛情を注いでいたのは、私の目にも十分に映っていました。

日本の奥様は、きまじめ工場長がフィリピンにおくさんと子供がいたことを知っていたのでしょうか?
私にはわかりません。
ただ、普通だったらそれなりに気がつく状況だったのは間違いないと思います。

予想に反して、二人の話し合いは穏やかにおこなわれたようです。
どんなことが話されたのかは、私の知る立場ではありませんが、日本のおくさんがフィリピンのおくさんに肩を貸して、ガラス越しにきまじめ工場長の容態を心配そうに見守る姿を見ました。
たぶん、きまじめ工場長の人格がそうさせたんだと思います。

やがて、生命維持装置をはずすことになりました。
こうして、多くの人に見守られてきまじめ工場長は息を引き取ったのでした。



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posted by マニラのおぢさん at 19:38| Comment(0) | TrackBack(0) | おぢさんの昔話 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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